障がい者雇用の助成金を紹介!種類ごとに解説
障がい者雇用は、社会全体として取り組む必要のある課題です。
そのため、障がい者雇用に関する助成金が各種用意されております。
助成金は、障がい者雇用の基準値に達していない企業から納付金を徴収し、そのお金を財源としています。
大きく助成金を分けると、以下の4つに分けられます。
・障がい者雇用を雇い入れる時に受けられる助成金
・障がい者雇用を行うために施設の整備等を行った時に受けられる助成金
・障がい者の職業能力開発をした場合に受けられる助成金
・障がい者を職場に定着できるように支援した場合に受けられる助成金
それぞれ詳しく見ていきましょう。
この記事の目次
障がい者を雇い入れる時に受けられる助成金
障がい者を雇い入れる時に受けられる助成金は、主に3つに分けられます。
・特定求職者雇用開発助成金
・トライアル雇用助成金
・障がい者雇用安定助成金
どの助成金も障がい者を雇い入れる時に受けられる助成金ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
詳しく解説していきます。
特定求職者雇用開発助成金
特定求職者雇用開発助成金は、障がい者だけでなく、高年齢者などの就職が困難な人を継続して雇用する場合に受けられる助成金です。
特定求職者雇用開発助成金は、以下の3つのコースに分けられます。
特定就職困難者コース
特定求職者雇用開発助成金の特定就職困難者コースは、高年齢者や障がい者等の就職困難者を雇用保険被保険者として継続して雇い入れる場合に支給される助成金です。
対象労働者と企業規模に応じて支給額が異なります。
具体例をみていくと、もし中小企業が、一週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の重度障がい者等を含む身体・知的・精神障がい者を雇い入れる場合だと、1人あたり2年で80万円(20万円×4期)支給されます。
引用元:厚生労働省
発達障がい者・難治性疾患患者雇用開発コース
特定求職者雇用開発助成金の発達障がい者・難治性疾患患者雇用開発コースは、発達障がい者や難治性疾患患者を雇用保険被保険者として継続して雇い入れる場合に支給される助成金です。
具体例をみていくと、もし中小企業が、一週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の短期労働者を雇い入れる場合だと、1人あたり2年で80万円(20万円×4期)支給されます。
こちらも、対象労働者と企業規模に応じて支給額が異なります。
引用元:厚生労働省
障がい者初回雇用コース
特定求職者雇用開発助成金の障がい者初回雇用コースは、これまで障がい者雇用を行ったことのない中小企業が、障がい者を初めて雇用する場合に支給される助成金です。受給額は、120万円です。
主な受給要件は、以下のようになります。
・雇用する労働者数が45.5人〜300人
・初めて障がい者(身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者)を雇い入れた日の翌日から3ヶ月後の間に、法定雇用率を達成すること
・過去3年間に障がい者雇用の実績がない
注意点としては、障がい者雇用を1人行うだけでなく、障がい者雇用促進法第43条第1項に規定する法定雇用障がい者数以上となって、法定雇用率を達成することが需要要件となっていることです。
トライアル雇用助成金(障がい者トライアルコース・障がい者短時間トライアルコース)
トライアル雇用助成金は、就職が困難な求職者の早期就職や雇用機会の創出を目的としています。
対象となるのは、重度障がい者、重度知的障がい者、精神障がい者で、かつ障がい者トライアル雇用制度を理解した上で、雇入れを希望している方になります。
原則として障がい者トライアル雇用の期間は3ヶ月です。
トライアル雇用助成金には、週の労働時間が20時間以上の障がい者トライアルコースと週の労働時間が10時間以上20時間未満の障がい者短時間トライアルコースの2つがあります。
それぞれの受給額は、以下のようになります。
障がい者トライアルコース:対象労働者が精神障がい者の場合は、月額最大8万円を3ヶ月、月額最大4万円を3ヶ月(最長6ヶ月間)。それ以外の場合、月額最大4万円(最長3ヶ月間)
障がい者短時間トライアルコース:支給対象者1人につき月額最大4万円(最長12ヶ月間)
引用元:厚生労働省
障がい者雇用安定助成金
障がい者雇用安定助成金は、障がい者の職場定着のために、障害特性に応じた雇用管理や雇用形態の見直し、職場定着に困難を抱える障がい者への支援に対して給付する助成金です。
以下の3つのコースを詳しく紹介していきます。
・障がい者職場定着支援コース
・障がい者職場適応援助コース
・中小企業障がい者多数雇用施設設置等コース
障がい者職場定着支援コース
障がい者職場定着支援コースの目的は、障がい者の雇用の促進、職場定着を図ることです。
以下の7つの措置を講じる場合に受給可能です。
・柔軟な時間管理・休暇取得
・短時間労働者の勤務時間延長
・正規・無期転換
・職場支援員の配置
・職場復帰支援
・中高年障がい者の雇用継続支援
・社内理解の促進
支給額は、それぞれの措置によって異なります。
ここでは、具体的に短時間労働者の勤務時間延長について紹介します。
短時間労働者の勤務時間延長の場合は、週の所定の労働時間が20時間未満の労働者を20時間以上、30時間未満の労働者を30時間以上に延長する場合に受給できます。
支給額も要件によって異なります。
例えば、重度身体障がい者、重度知的障がい者、精神障がい者を対象とし、20時間未満から30時間以上への延長を中小企業が行った場合は、1年間で54万円が支給されます。
受給要件を確認し、利用できる制度があれば、関連機関に相談してみるといいでしょう。
引用元:厚生労働省
障がい者職場適応援助コース
障がい者職場適応援助コースは、職場適応・定着に課題を抱える障がい者に対し、支援を実施する事業者に対して助成します。
対象となる労働者は、次のいずれかに該当する者です。
・身体障がい者
・知的障がい者
・精神障がい者
・発達障がい者
・難治性疾患のある方
・高次脳機能障害のある方
・上記以外の障害者であって、地域センターが作成する職業リハビリテーション計画において、職場適応援助者による支援が必要であると認められる者
引用元:厚生労働省
支給額は、障がいの種類や支援を行った日数などによって異なります。
中小企業障がい者多数雇用施設設置等コース
中小企業障がい者多数雇用施設設置等コースは、労働者数300人以下の事業主が対象です。
障がい者の雇入れに係る計画を作成し、障がい者を10人以上雇用することが条件となります。
その上で、障がい者の雇入れに必要な事業所の施設・設備等の設置・整備への費用に対して助成を行います。
中小企業障がい者多数雇用施設設置等コースは、新たに雇い入れた支給対象となる障害者の数と、施設・設備の設置・整備に要した費用の額に応じて、支給額が異なります。
引用元:厚生労働省
施設の整備等を行った場合に受けられる「障がい者雇用納付金制度に基づく助成金」
障がい者雇用納付金制度に基づく助成金は、事業主等が障がい者の雇用するにあたって、施設・設備の整備等を行わなければ、障がい者の新規雇入れや雇用の継続が困難であると認められる場合に支給される助成金です。
助成金の種類としては、以下の7つになります。
・障がい者作業施設設置等助成金
・障がい者福祉施設設置等助成金
・障がい者介助等助成金
・職場適応援助者助成金
・重度障がい者等通勤対策助成金
・重度障がい者多数雇用事業所施設設置等助成金
・障がい者能力開発助成金
助成金の種類は多岐にわたり、対象となる障がいの内容や申請手続きも異なるため、障がい者雇用の計画段階から関連機関に相談しておくとよいでしょう。
職業能力開発をした場合に受けられる「人材開発支援助成金(障がい者職業能力開発コース)」
障がい者職業能力開発コースは、障がい者の職業に必要な能力を開発、向上させるため、一定の教育訓練を継続的に実施する施設の設置・運営を行う場合の費用を一部助成します。
訓練の対象となる障がい者は、以下のいずれかに該当する人になります。
・身体障がい者
・知的障がい者
・精神障がい者
・発達障がい者
・高次脳機能障害のある者
・難治性疾患を有する者
また、ハローワークに求職の申込みを行い、職業訓練を受けることが必要であり、職業訓練受講通知書により通知が必要となります。
支給の要件や支給額はそれぞれ異なるため、自社の要件に合うか確認が必要です。
まとめ
今回の記事では、障がい者雇用で受けられる助成金について紹介しました。
助成金は、障がい者の雇用促進や雇用の継続を目的とする際に支給が受けられます。
助成金を活用して、障がい者雇用を行いたいと考えている方は、お気軽にご相談ください。